Blue Flower

 歓喜を語り合い広宣流布を進めよう

   世界の動きは「前代未聞の大闘諍」ヘ

   「沖縄独立」こそ最大の自界叛逆の難

          顕正新聞  平成27年6月5日(1345)号 

 きょうの総幹部会も凄いですね。一人ひとりの登壇に大感動いたしました。
 私は毎月の総幹部会を、大事に思っております。広宣流布を見つめて竹の節を一つひとつ乗り越えるように、広布のその日まで、この総幹部会を大事に盛り上げていきたいと思っております。
 
  水は沸騰すれば機関車をも動かす
 
 いま、月々に総幹部会の熱気が高まりつつあるを感じますね。これ凡夫の力ではない。大聖人様のお力によって、自然とそうなってくるのです。いいですか。同じ水でも、百度を超えて沸点に達すると、機関車をも動かす。信心の熱気も、大聖人様のお力によって広宣流布が近づくにつれて、だんだんと高まってくる。
 そして地涌の菩薩の大集団の熱気が最も高まるのが、広宣流布の前夜ですよ。このとき、顕正会は二百万・五百万・一千万 さらに大きな力となって、国中の元品の無明を打ち破っていく。そして「大聖人様を信じない」という我慢偏執の者たちの元品の無明を打ち破って、ついに一国の総意を以て国立戒壇が建立される。
 この沸騰するような大情熱が地涌の菩薩の大集団にたぎったときが、広宣流布であります。それまで、月々の総幹部会、みんなで心を合わせて、信心の熱気を高めていきたいと願っております。
 

  いま全顕正会に歓喜充満

 
 さあ、いよいよ国難二年の中盤、六・七月法戦の開始であります。弘通の誓願は一万六千といたします。
 
  仰せのままの信心仰せのままの功徳
 
 いま全顕正会には、歓喜が充満していますね。きょうの総幹部会の登壇一つひとつを開いても、まさに歓喜充満です。
 なぜ顕正会には歓喜が充満しているのか。それは、大聖人様の仰せのままの信心をして、仰せのままの功徳が頂けるからです。
 大聖人様は撰時抄に「されば我が弟子等、心みに法華経のごとく身命も惜しまず修行して、此の度仏法を心みよ」と。本当に、大聖人の仰せのままに信心すれば、仰せのままの功徳が頂ける。なんと有難いことか。
 
  現当二世の大利益
 
 その仰せのままの功徳とは、現当二世の大利益ですね。すなわち現世には生活が守られ、臨終には成仏の相を現じ、後生も大果報を頂くということであります。
 さきほども「正義にめざめて」で、何人かの発表がありましたね。「学会では全く功徳がなかった」と。そして「いま大聖人様の御心に叶う、戒壇の大御本尊様に通じるお題目を唱えるようになってから、直ちに功徳が出てきた」と。これ現世の功徳であります。
 
  一生成仏
 
 また「体験発表」においては、二人が家族の臨終について発表しておりましたが、まさに大聖人の仰せのままですね。
 大聖人様は「十如是事」に「上・中・下の三根はあれども、同じく一生の内に顕わすなり」と。また「一念三千法門」には「法華経の行者は、如説修行せば、必ず一生の中に一人も残らず成仏すべし」と。
 どんなに下根・下機であったとしても、一切の謗法を捨て、ただ大聖人様を信じて南無妙法蓮華経と唱え奉るならば、必ず一生のうちに一人も残らず成仏する――と。
 この仰せのとおりの功徳が頂けるから、顕正会には歓喜が湧いてくる。そしてこの歓喜こそ広宣流布の原動力なのであります。
 
  学会は「仏種を断ず」
 
 また生死一大事血脈抄にはこう仰せられる。「謗法不信の者は『即ち一切世間の仏種を断ず』とて、仏に成るべき種子を断絶するが故に、生死一大事の血脈之無きなり」と。
 「戒壇の大御本尊を受持しない」などという学会は、まさにこれに当るのです。仏に成るべき種を彼らは断絶してしまう。だから地獄に堕つる。こんな不憫なことはない、ゆえに顕正会はいま学会員を救わんとしているのであります。
 
  歓喜を共に語り合おう
 
 いま大聖人御入滅後七百三十余年、まさに広布前夜の濁悪の時でありますが、大聖人様の仰せのままに恋慕渇仰の信心口唱を人に勧め、「国立戒壇建立」を一国に叫び戦っているのは顕正会以外にはない。
 よって大聖人様の仰せのとおり、必ず一生のうちに成仏が叶うのであります。こんな有難いことはない。この歓喜を、常に上と下とで語り合っていきたい。歓喜を懐いても、語らなければ萎んでしまう。語ることによって歓喜はますます深まる。ですから、上と下で語り合う、先輩とも後輩とも語り合っていく。その語り合いの中に、互いの歓喜が深まっていく。
 ゆえに大聖人様は「力あらば一文一句なりともかたらせ給え」と。「力」とは感激です。内には同志と語り合い、外には御本尊の功徳を讃歎する。これが広宣流布を進める姿なのであります。
 

  世界の動きは「前代未聞の大闘諍」ヘ

 
 さて、先月の総幹部会で、大聖人御予言の「前代未聞の大闘諍」について述べましたが、世界の状勢は月々日々に急テンポですね。そしてその動きは、すべて「前代未聞の大闘諍」へと向っているのであります。
 その様相を簡略に説明いたします。
 
  新しい冷戦始まる
 
 第二次世界大戦後、アメリカは世界の覇権国となり「一極集中」などと言われてきましたが、いま歴史的な地殻変動が起きて来た。それが、アメリカの衰退・中国の台頭です。
 そして今や、中国とロシアが結束してアメリカと対峙するという「新しい冷戦」が始まって来たのであります。
 
  中国・ロシアの結束
 
 なぜ中・ロ両国は結束するのか――。それにはこういう理由がある。
 ロシアはウクライナ問題でアメリカの経済制裁を受けて苦境に陥り、中国の経済協力を必要としている。一方、中国は、アメリカをアジアから追い出して大中華帝国を築かんとしている。それにはどうしてもロシアの軍事協力が必要となる。
 ここに中・ロ両国は反米で利害が一致し、いま事実上の同盟関係になっているのであります。
 
  二つの戦勝式典
 
 五月九日、ロシアはモスクワで「対ドイツ戦勝70周年記念式典」を盛大に開催した。ウクライナ問題でアメリカ・ヨーロッパ・日本の首脳が挙って欠席する中、プーチン大統領は中国の習近平国家主席を主賓として招き、厚くもてなした。
 そして九月には、こんどは中国が北京で「抗日戦争勝利70周年記念式典」を開くことになっている。恐らく「日本の侵略戦争によって中国人民は大被害を受けた」と言い、いまの日本を「軍国主義復活」等と声高に宣伝するに違いない。
 この二つの式典を通して、中・ロはいよいよ結束を堅め、「反米・反日」を全世界にアピールすると思われる。
 
  習近平とプーチンの蜜月ぶり
 
 すでに行われたロシアの式典を見るに、プーチンは過去最大規模の軍事パレードを演出しましたね。行進したロシア将兵は一万六千人、最新鋭の地上兵器を約二〇〇も並べ、さらに米国の「ミサイル防衛」(MD)を突破できるといわれている新型大陸間弾道ミサイル「ヤルス」や、戦術核を搭載できる最新の短距離ミサイル「イスカンデルM」等も、初公開した。
 招かれた習近平も、中国軍の中から選りすぐった平均身長一八八センチの精鋭儀杖(ぎじょう)隊を数百人も引き連れこの行進に参加させた。プーチンと習近平は席を並べてこの大軍事パレードを観閲し、何度も互いに笑顔で言葉を交わして蜜月ぶりを示したという。
 この式典においてプーチンは「ナチズムや日本の軍国主義と戦った国々の代表に、特別な敬意を表する」と述べた。わざと「日本の軍国主義」との文言を入れたのは、習近平への配慮を示したのです。
 
  中・ロ軍事同盟の危険
 
 また見逃せないのが、式典前日の八日に行われた中・ロ首脳会談における三つの合意です。
 その一つは、旧ソ連諸国の統合をめざす「ユーラシア経済同盟」の合意。
 二には、中国の現代版シルクロード建設といわれる「一帯一路」連携についての合意。
 そして三つ目、これが最も重大です。それは、軍事協調です。二人の首脳は、宇宙を含めた全面的な軍事協力を進めることで合意したのです。この中には核戦力の協力も当然含まれている。これは事実上の軍事同盟であります。
 
  世界は戦国時代に
 
 いいですか。現在ロシアは、保有する核弾頭の数においてはアメリカに次いで世界第二位ですよ。そして中国の核戦力は「東風41」および「巨浪2」によって、すでに世界を制している。
 この中国とロシアが全面的な軍事協力を進めたら、アメリカも手が出せない。世界は無秩序の戦国時代になる。これがいま起こりつつある「新しい冷戦」です。
 そしてこの冷戦が、やがて大聖人御予言の「前代未聞の大闘諍」になるのであります。
 
  中国、西太平洋に進出
 
 すでに中国は圧倒的な核戦力を背景として、西太平洋への侵略を始めている。
 南シナ海では海を埋め立てて、すでに七ヶ所も軍事基地を作っている。フィリピンやベトナムが騒いでも無視して強行している。
 また東シナ海においては、尖閣諸島周辺の領海で日常的に中国艦船による侵犯が繰り返されている。いつ上陸作戦が行われるかわからない状況です。
 
  安倍首相の脅え
 
 安倍首相は、この中国の侵略に脅えているのです。彼がすがるのは、アメリカ以外にない。
 一方、アメリカも、アジアから追い出されては利権を失う。そこでいま「リバランス」などと称して、アジア重視政策に舵を切り始めた。
 安倍首相はそのアメリカに取り入って、昨年、まず集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、ついで本年四月二七日、新たな「日米軍事協力の指針」(ガイドライン)を決定した。この新ガイドラインというのは、自衛隊を米軍の補助部隊にして、その活動範囲を世界に広げる――というものです。
 
  自衛隊は米軍の下請けとなる
 
 そしていま、安倍首相はこの新ガイドラインの裏づけとなる法案を「平和安全法制」と称して国会に提出し、「八月までに成立させる」と公言しております。なぜこのように「八月成立」などと急いでいるのかというと、安倍首相が四月の訪米において、アメリカの大統領と議会にこれを約束してしまったからです。
 いいですか。この法案は「平和安全法制」などと名づけておりますが、その本質はまさに「戦争法案」ですよ。なぜかといえば、米軍の要請に応じて自衛隊を世界中のどこへでも、いつでも派遣できるようにする法案だからです。この法案が成立すれば、自衛隊はアメリカの世界戦略に組み込まれ、完全に米軍の傭兵・下請けとなる。
 
  国民・国会を無視 米国に「八月成立」約束
 
 こんな危険で重大な改変を、安倍首相は、日本国民にも国会にも説明することなく、アメリカに「八月までに成立させます」と誓約してしまった。
 憲法を見れば、国民は「国の主権者」ということになっている。また国会は「国権の最高機関」と定められている。だが安倍首相の眼中には、国民も国会もないのです。国民などは簡単に騙せると彼は思っている。テレビ・新聞はすでに抑えてあるから、国民は何にもわからないと思っている。
 日本のテレビ・大新聞はなんと腑抜けなのか。彼らは自社の利益しか考えてない。だから政府に脅されればすぐ黙ってしまう。先日もNHKとテレビ朝日が自民党に呼ばれたが、わずかな圧力でも怖がって自粛してしまう。大新聞もそうです。権力を監視するという使命を忘れている。こんなだらしのないマスコミは国のためにならんですね。
 安倍首相はこのマスコミのだらしなさを見て自信を深め、国民などに何かわかるかと慢心している。また国会などは数の力で押し切れると、高を括っているのです。
 
  はぐらかしとごまかしだけ
 
 二・三目前の党首討論会、私は初めて始めから終わりまで見ましたが、安倍首相は野党党首の質問に、何一つまともに答えようとはしていないですね。
 その答えは、すべてはぐらかしと誤魔化しばかり。その不誠実・無責任・軽薄な語り口を見ていて、これが一国の宰相なのかと、憤りとともに悲しさが込み上げてきました。
 
  アメリカは日本の柱ではない
 
 彼はアメリカを、憲法よりも上位の統治者と思っているのでしょう。だから先般の訪米でも、自衛隊をアメリカの下請けとする新法案の八月成立を約束し、食の安全と国富を失うTPPを讃嘆し、歴史認識ではアメリカに諂い、辺野古の埋め立てをも確約した。その姿は、あたかも属国の首長が宗主国の王に誓いをするに似ている。
 その根底にあるのが、中国の侵略に対する脅えなのです。「自衛隊を差し出しますから、どうか守って下さい」と、一も二もなく対米従属しているのが、安倍政権の基本姿勢なのであります。
 だが、アメリカは日本の柱ではない。日本を利用するだけ利用するが、中国と全面戦争をしてまで日本を守る気などさらさらない。イザとなれば、日本を放り出して中国の餌食にし、中国と太平洋で棲分けしようと考えているに違いない。
 
  御守護下さるは日蓮大聖人ただ御一人
 
 ここに全日本人は、諸天に申し付ける絶大威徳まします日蓮大聖人の、重き重き御存在に早く気がつかなければいけない。
 日本を御守護下さるのは、久遠元初の白受用身・末法下種の御本仏・日蓮大聖人ただ御一人であられる。ゆえに「我日本の柱とならむ・・・等と誓いし願、やぶるべからず」と。また「聖人国に在るは日本国の大喜にして、蒙古国の大憂なり。乃至、梵釈に仰せ付けて蒙王を召し取るべし」と仰せあそばす。
 この大慈大悲・絶大威徳の日蓮大聖人に背き奉るゆえに、いま中国の侵略が起こらんとしているのです。

  「影は体より生ずる」
 
 いいですか。学会・公明党は極限の謗法を犯しているではないか。また安倍首相は「神道政治連盟国会議員懇談会」の二百数十名の国会議員団を率いて、日本を「神の国」にしようとしている。
 どうして他国侵逼の災いを招かぬことがあろうか。ゆえに十字御言には「影は体より生ずるもの、法華経をかたきとする人の国は、体に影の添うがごとく、わざわい来たるべし」と仰せられるのであります。
 

  「沖縄独立」こそ最大の自界叛逆

 
 そしていま私は、他国侵逼の前に現われる自界叛逆の難が、いよいよ事実となることを憂えております。
 それは、沖縄問題であります。これまでも、「琉球独立」ということは一部の左翼的学者あるいは少数グループが唱えていたが、県民の支持は得られなかった。しかし今、空気が変わって来たのです。
 
  「辺野古移設反対」の気運高まる
 
 そのきっかけになったのが、米軍の普天間飛行場を、名護市辺野古の海を埋め立てて作る新基地に移設する、という一件です。
 最近の沖縄における選挙を見ると、「辺野古移設反対」の候補者がすべて勝っているのです。昨年一月の名護市長選、九月の名護市議選、一一月の沖縄県知事選、そして一二月の衆議院選挙、すべて「移設反対派」の候補が勝っております。
 翁長雄志沖縄県知事は知事就任以来、幾たびも上京して官邸に赴いているが、安倍首相も菅官房長官も面会を拒否して来た。つい最近、やっと面会はしたが、二人はそれぞれ「辺野古移設以外に道はない」「粛々と工事を進める」と突っぱねるだけであるから、沖縄と日本政府の溝はますます深まっている。
 酋長知事は自民党沖縄県連の幹事長だったから、保守系ですよ。その彼が言う。「基地問題は、もはや保守や革新というイデオロギーの問題ではなく、沖縄のアイデンティティー(独自性・主体性)だ」と。
 このように、今や沖縄の保守・革新を問わず「基地反対」の声が広がりつつあるのです。
 
  沖縄の歴史
 
 ここで沖縄の歴史を、本土の人たちも知らなくてはいけない――。
 沖縄で琉球王国が成立したのは一五世紀の一四二九年ですね。では、それ以前に「沖縄」という名称はなかったのかというと、それ以前にもあの島は「沖縄」と呼ばれていたのです。
 
  鑑真和尚と沖縄
 
 その最も旧い記録が、鑑真和尚の文書の中に出てくるのです。鑑真和尚という人は、その木像がいまに唐招提寺に保存されておりますが、中国の唐時代の勝れた僧侶です。天台宗と律宗を究めた人。そして日本から入唐した留学僧の請いを受け、「何としても日本に渡ろう」と決意した人です。
 当時、日本に渡ることは国禁であった。それを敢えて犯したのです。しかも東シナ海の荒波は小さな舟ではとうてい渡れない。まさに決死行だったのです。しかし鑑真和尚は「何としても、命をかけても」との思いに衝き動かされた。私は、これは仏様が動かしたのだと思っております。
 鑑真和尚の渡日は五回も舟がこわれて失敗した。そのうえ両眼も失明した。だが決意は変わらず、ついに六度目に漂着したのが、実に沖縄だったのです。
 
  「阿児奈波」
 
 そのときの鑑真和尚の記録には、島の名前を「阿児奈波(おきなわ)」と書き記してあった。漢字を表音文字にして記している。この沖縄に漂着したのち、鑑真は薩摩を経て奈良に入り、東大寺に小乗の戒壇を築き、聖武天皇に始めて小乗戒の授戒をしている。
 大聖人様は撰時抄に「大唐の鑑真和尚、天台宗と律宗をわたす。其の中に律宗をば弘通し、小乗の戒場を東大寺に建立せしかども、法華宗のことをば名字をも申し出させ給わずして入滅し了んぬ」と仰せられている。
 
  天台の三大部を日本に留め置く
 
 実は鑑真が日本に渡った本意は、律宗を弘めるためではない、天台大師が法華経の極理を解説した三大部すなわち玄義・文句・止観を、日本に届けることにあったのです。この三大部を日本に届けておけば、必ず大事な方がこの書を読むことを、鑑真は知っていたのです。
 果せるかな、その数十年後、天台大師の後身といわれる伝教大師がこの三大部を読み、ますます「法華経第一」の大確信に立ち、ついに比叡山に迹門の戒壇を建立したのです。その伝教大師は「末法太(はなは)だ近きに有り」と記しておられる。その意は、まもなく久遠元初の柳本仏がこの日本に御出現になる。しかし自分はその前に生まれて値い奉ることができない――その恋慕の心を「末法太だ近きに有り」と述べているのであります。
 それはさておき、鑑真が沖縄に漂着したのは八世紀の半ば、七五三年だったのです。
 
  「琉球王国」の成立
 
 それより七百年後に「琉球王国」が成立した。これが先ほど申したように一五世紀の一四二元年です。そして薩摩藩の侵略を受けて薩摩に従属したのが一六〇九年。このとき従属はしたが、琉球王国は独立したままであった。
 最終的に日本に併合されたのが明治時代の一八七九年。以後「沖縄県」となった。ですから「琉球王国」時代は、四五〇年間だったのであります。
 
   沖縄戦の悲劇
 
 そして日本は太平洋戦争に突入した。米軍は一九四五年(昭和二〇年)の三月から沖縄への攻撃を開始した。まず多数の軍艦による艦砲射撃が行われた。その激しさは、沖縄全土の地形を変えてしまうほどだった。
 しかるのち、四月一日に一八万人の米軍が沖縄本島に上陸した。圧倒的な物量作戦を展開する米軍に対し、日本車は必死の抵抗をしたが、じりじりと追いつめられた。このとき、特攻機が米艦に突入したのです。海軍は七九一機、陸軍は八○五機が出撃し、米艦一六七隻に大被害を与えた。
 さらに日本海軍の虎の子であった戦艦「大和」も沖縄救援に出撃したが、米機の魚雷攻撃を受け、乗員三千余人と沖縄県民への大量の救援物資を懐いたまま、あえなく九州南方沖に沈んでしまった。
 
  沖縄県民の献身
 
 この沖縄戦には県民も献身的に協力したのです。多くの県民が砲弾を運び、あるいは戦傷軍人護送等を積極的に手伝った。中でも傷病兵の看護に従事して、若き生命を散らした沖縄師範女子部と県立第一高女の生徒二二八名の悲劇は、涙が出てきます。
 日本車の司令官も、この沖縄県民の献身協力には心を打たれた。六月六日、沖縄方面根拠地隊司令官の大田実海軍少将は、米軍に包囲されてついに参謀とともに自決したが、自決の直前、県民の戦闘協力を称える電文を海軍次官に宛てて打電している。その電文に云く「沖縄県民、斯く戦えり。……後世特別の御高配、賜らんことを」と。これが大田少将の真情だったのです。
 この沖縄戦で、沖縄県民の四人に万人が命を失った。一〇万人が死んだのです。
 
  米軍の統治下に
 
 そして敗戦と同時に、沖縄は米軍の統治下に置かれた。
 敗戦から七年後の一九五二年、サンフランシスコ講和条約が結ばれて日本本土はこのとき主権を回復したが、沖縄だけは取り残され、そのまま米軍の統治下に置かれてしまった。
 
  正本堂の年に本土復帰
 
 そして一九七二年になって、沖縄はやっと本土に復帰したのです。この一九七二年・昭和四七年という年――。顕正会員ならば誰でもすぐわかるでしょ。偽戒壇・正本堂が落成した年ですよ。いま日本の命運をも左右する沖縄問題は、このときに始まっていたのだと、私は深く思っております。
 いいですか。この正本堂落成の年に、日中国交回復がなされて日本の経済支援により中国の軍事大国化への道が開かれ、また原発の建設も始まリ、赤字国債の発行も始まって大借金国へと走り出した。
 亡国のさまざまな要因は、まさしく正本堂落慶の一九七二年・昭和四七年にすべて胚胎していた。沖縄問題もまさにその一つだったのであります。
 
  「0・6%」「74%」
 
 沖縄の人たちがいま「差別」と感じていることは何かというと、それはまさしく基地問題です。
 そのキーワードが「0・6%」「74%」という数字です。日本の国土面積の0・6%しかない沖縄に、在日米軍基地の74%が存在しているのはおかしいではないか――と。こんな不公平はない。日本の安全保障のためというのなら、負担は公平でなければならないと、沖縄の人たちはいま思っている。
 これまでは「沖縄は日本防衛のキーストーンだ」「要石だ」ということで、我慢を続けてきた。また経済的にも、基地関連の収入がなければ沖縄経済は成り立たなかった。すなわち生活が立たないという基本的な問題もあったのです。
 
  沖縄経済の自立
 
 しかし今、その状況が変わってきた。翁長知事が岩波の「世界」四月号の対談で述べておりましたが 「沖縄経済における基地依存度は、終戦直後から六~七年は50%、本土復帰時には15%、そしていまは5%を切っている」と。
 また「海外観光客もいま倍々ゲームで増え、三年前が約三〇万人、一昨年が約三八万人、去年が約六三万人、今年はもう百万人に遣る勢いになっている」と。この海外観光客というのは殆んど中国人でしょうね。さらに「情報通信産業も勢いを増して年間三千億円に迫り、今年度には首都圏と沖縄・香港・シンガポールを結ぶ国際海底ケーブルの通信回線も完成する」とのことです。
 このように沖縄が経済的に自立するにつれ、改めていま、独立問題が大きく浮かび上がってきたのです。その沖縄の人たちの思いは、先ほども述べたように「日本の安全保障のためにと言って沖縄だけに基地負担をさせるのは不公平だ、理不尽ではないか」ということ。また日本政府は一カネさえやれば文句はないだろうという顔をしている」というところにある。
 
  安倍政権の慢心
 
 事実、選挙のとき、石破幹事長(当時)や菅官房長官の、「沖縄振興」のカネをぶら下げてのえげつなさは、まことに下品でしたね。そして今、県民を代表する翁長知事が何回面会を求めても官邸は拒否して来た。そのうえで、会えば「辺野古埋め立て以外に道はない」「工事は粛々と進める」などと、上からの目線で言い放っている。
 日本政府は、沖縄を侮っている、軽んじているように見える。それというのも、アメリカのお墨付さえ得れば、という思いがあるからでしょう。安倍首相にしても菅官房長官にしても、人の心がわからない。慢心すると、人の心が見えなくなるのです。
 翁長知事は、もう日本政府は相手にならんとして、今月二七日に渡米してアメリカ政府に沖縄の意志を伝えるという。しかし受け入れられるとは思えない。「日本政府を通して話を・・・」ということになるでしょう。
 
  最後の切り札
 
 そうなると、いよいよ「沖縄独立」ということが現実味を帯びてくる。沖縄は最後の切り札を切る以外にないのです。
 昨年夏、沖縄県石垣市出身の松島泰勝・龍谷大学教授が書いた「琉球独立論」が、沖縄でベストセラーになったですね。その中で松島教授は「沖縄基地問題を根本から解決するには、日本から独立するしかない」として、その具体的手順を次のように説明している。
  「まず、国連の『脱植民地化特別委員会』という組織が作成する『非自治地域リスト』に登録されることを目指す。ここに登録されれば、国連の支援を受けて、独立を問う住民投票を行う筋書きができる」と。さらに言う。「その住民投票で『独立をする』という票が過半数を上回わった時点で、独立宣言をし、世界の国々に『琉球国』の存在を認めさせる。そして国連に加盟するという道筋です」と。
 一見、荒唐無稽にも見えるが、私はそうは思わない。県民の心の動き一つで決まる。もし鬱念や瞋りが沸騰すれば、思わぬことが起こるのです。
 
  最大の自界叛逆
 
 大聖人様は、他国侵逼の前に自界叛逆の難があることを、成道御書を始め多くの御書にお示し下されている。もし沖縄が独立したら、これほどの自界叛逆の大難はない。国内における日本人同士の争いだけでなく、国土が分裂してしまうのです。そうなれば、米軍基地もすべて撤去ということになる。尖閣問題などは吹っ飛んでしまう。安保条約も有名無実となる。
 これをいちばん喜ぶのは中国ですよ。一滴の血も流さずに沖縄を手に入れることができる。中国にとって、こんな美味しい話はない。
 
  背後に中国の影
 
 私は、この沖縄独立運動の背後には中国の影があると、見ております。
 それは、昨年一一月の県知事選で翁長氏が当選した、そのわずか二日後、中国から「中国国際友好連絡会」と称する一行が、翁長知事に面会を求めて沖縄を訪れていることからもわかる。この「中国国際友好連絡会」というのは、会長が李肇星(りちょうせい)元外相、副会長が鄧小平の三女の鄧榕(とうよう)、そして顧問には、習近平国家主席の妻で歌手として有名な彭麗媛(ほうれいえん)が就任している。この会の実態は、人民解放軍・総政治部傘下の工作機関です。これが翁長氏当選の二日後に、直ちに駆けつけて来ているのです。
 中国の沖縄に対する働きかけは前々から凄まじいものがある。慢心している安倍政権はこれを軽視している。「沖縄独立などできるわけがない」と軽視している。だから判断を誤るのです。一方、沖縄の人たちも、中国に支配された時の恐ろしさを知らない。ここに悲劇が起こるのであります。
 
  他国侵逼は一気に加速
 
 もし沖縄が独立したら、他国侵逼は一気に加速する。
 大聖人様は報恩抄に金光明経を引いて仰せられる。「時に隣国の怨敵、かくの如き念を興さん。当に四兵を具して彼の国土を壊るべし」と。大聖人御大滅後七百三十余年を経て、なお御本仏に背き続ける日本を見て、諸天はどう見るか。怒りを起こさぬ道理がありましょうか。この諸天の治罰として、自界叛逆も他国侵逼も起こるのであります。
 
  日蓮大聖人に帰依し奉れ
 
 この大難をのがれる術は、大慈大悲・絶大威徳の大聖人様に帰依し奉るの外は断じてない。ゆえに「日蓮によりて日本国の有無はあるべし」と仰せあそばす。
 私は確信しております。日本がいかに濁乱するとも、二百万の仏弟子の大集団があれば、日本は必ず動く。
 さあ、四年後の二百万を見つめ全顕正会一結して、「舞いをもまいぬべし」「立ちて踊りぬべし」の仰せのままに、大歓喜を以て広宣流布を進め、何としても大聖人様に応え奉ろうではありませんか。以上。(大拍手)
 

ゲスト 2人 と メンバー0人 がオンラインです